• 徒然記
  • 鎌倉で過ごす日々の徒然や随筆

生活の中の、、、

ある寒い日のことです。例年のように秋の終わりには天候が不順になっていました。暖かい日があったかと思えば冷え込んだ朝もあります。
予定がキャンセルになって、どうやら朝から暇な雰囲気です。タンスの整理をしたいらしい妻の様子から急に片付けを手伝うことになりました。狭いクローゼットの何処に入っていたかと思うほどの衣類が出て来ました。
シーズンが終わった夏服を中心に整理して行きます。自宅で洗濯する衣類と洗濯屋さんに出すものとに分けて行きました。1年以上着ていないものがあります。全く着ることがなくなった背広の上下が出て来たのには驚きました。

お洒落とは無縁の人生でした。18歳で大学に入学して以来スーツで過ごして来ました。大学生の時期にもお洒落を覚えることはありませんでした。

60歳で完全にリタイアしてからはネクタイをしないことに決めました。結婚式も通夜や葬儀でも黒の上下に白いハイカラーのシャツで済ませました。年配者としての毅然とした雰囲気ときちんとした気分があれば良いと思って来ました。
そもそも自分の姿は自分には見えません。加えて記憶の中でも華美なこととは無縁です。年末に買ってもらう新しい下着類が嬉しかったものです。成長する自分の身体の大きさに合いさえすれば良かった訳です。

高校生の時期には坊主頭に学生服という出で立ちで通しました。母に買ってもらった洒落たシャツの柄を今でも覚えていますから洒落っ気がなかった訳ではないようです。

笑い話のようですが、どうやら人生の早い時期に「偏屈」が身に付いたようです。「無精」と同意語の生活が一変したのは結婚生活でした。下着を毎日替えたり、襟の汚れを気にするようになったものです。

最近「断捨離」という言葉が流行りのようです。全てを整理するために入って来るモノを断つ、捨てる、個人のこだわりから離れるとうことのようです。
確かに整理することで見えることがあるかもしれません。捨てることに未練がないとすれば、そもそも手に入れていなかったのではないでしょうか。執着することが悪いとは一概に言えません。

生活の中の、、、

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