手紙などから見える秀吉と信長の実像

今年のNHK大河ドラマ『いだてん』の評判が芳しくないようだ。
2月3日の平均視聴率は、10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に過ぎなく、一桁台への陥落もありそうだ。筆者は不満のはけ口を女房に求めながらも、毎回見続けている。

今度の作品は、ドタバタ劇が展開されるだけで、どうにも筋が見えてこない。
さらに、鳴り物入りで起用された「ビートたけし」が足を引っ張っている。
最近、彼は滑舌が悪くなっており、この番組でも何を言っているのかがさっぱり分からない。

大河ドラマが、歴史ものから離れるのは久しぶりのようだが、NHKは“力み”過ぎだ。
視聴者が大河ドラマに求めているものは、「面白さ」と「ロマン」の両方であろう。また、筋が分かり易いことは最低条件だ。残念ながら、今回の作品はそのいずれもが欠けている。

ところで、来年の大河ドラマは、明智光秀を主人公とする「麒麟がくる」である。
朝の連続テレビ小説「まんぷく」でよい味を出している長谷川博己(写真)が主役を演ずる。“本能寺の変”を引き起こし、あまり人気のない明智光秀であるが、NHKはまったく新しい明智像を示してみたいと意欲的である。歴史ものへの復帰、今から興味津々である。

手紙などから見える秀吉と信長の実像

明智光秀を演ずる長谷川博己([日刊ゲンダイdigital]より)

大河ドラマでの人気という点では、明智光秀の対極に位置するのが豊臣秀吉である。
百姓出身の明るい人物のようであり、その驚異の立身出世は大河ドラマにピッタリである。今年までに放映された58回の大河ドラマのうち、秀吉が主人公として取り上げられたことは3回にも及んでいる(「おんな太閤記」も主人公にカウント)。

また、58回の番組のうち、少なくとも18回に秀吉が登場しておりその人気ぶりが分る。
秀吉の役を色々な俳優が演じており、それぞれに「いかにも秀吉」と思わせる演技を披露している。痩せぎすの秀吉(1965年の緒形拳)もいれば、固太りの秀吉(1981年の西田敏行、1987年の勝新太郎)もいる。竹中直人(1983年など)も独特の雰囲気を出していた。

一方、秀吉と並んで人気のあるのが織田信長である。主人公として取り上げられたのは一回だけであるが、番組への登場回数は秀吉以上ではないかと思われる。この二人は色々に描かれているが、本当の姿がどうであったのかは意外と分かっていない。
そこで、今回は手紙などを手掛かりに、二人の真の人物像に迫ってみることにしたい。

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